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通関業務の役割と目的

海外の企業と取引を行い、モノを海外へ送ったり、日本国内へ持ち込む際に「通関手続き」を行う必要があることをご存知でしょうか。今回は輸出や輸入といった海外との取引、貿易における通関手続きについてご説明します。

通関とは?

海外からモノを購入して日本国内へ持ち込んだり、日本国内のモノを海外へ持ち出す際に税関へ申告し、許可を得る手続きを通関と言います。通関手続きを行わず、ものを日本国内に持ち込んだり、持ち出したりすると密輸となり、重大な法令違反になります。身近な通関手続きと言えば、海外旅行の帰国の際に小さな用紙に海外で購入した土産物を記入して提出した経験はありませんか? あれも簡易的な通関手続きで、日本へ持ち込むものを税関に対して申告しているわけです。

貿易(輸出入)における通関手続き

貿易と呼ばれる輸出や輸入といった取引業務においては、簡易的な通関手続きでは日本国内への持ち込みや日本国外への持ち出しは許可されません。貨物の種類に応じた必要書類を揃えて税関への申請手続きが必要です。
通関に必要な書類とは、次の通りです。

輸出
Invoice(仕入書)
Packing List(梱包明細書)
商品説明書や輸出貿易管理令等に該当する場合は必要な許可証

輸入
Invoice(仕入書)
Packing List(梱包明細書)
Bill of Lading(船荷証券)
他法令の許可・承認証(関税関係法令以外の法令による許可・承認が必要な貨物の場合)
特恵原産地証明書(特恵関税の適用を受けようとする場合)
減免税明細書(減免税の適用を受けようとする場合)


通関手続きに必要な書類の作成や通関の申請業務、国内外の貨物の配送手配など通関に関わる業務を通関業者と呼ばれる専門的な事業者へ通関業務の代行を依頼することが出来ます。

通関手続きに必要な書類に誤りがあると税関の許可が下りず、貨物の日本国内への持ち込みや日本国外へ持ち出し出来ず取引において大きなトラブルを招くことになります。通関手続きでは必要な書類を正確に作成することが重要です。

通関業務の役割と目的

なぜ通関手続きを行うのか、通関手続きの役割と目的についてご説明します。

1つ目、通関業務は、国家の安全保障を守るために重要な役割を果たしています。輸入品や輸出品が国内外に入る際に、不法な物品や危険物が混入していないかをチェックすることで、テロや犯罪活動の防止に寄与します。また、動植物の検疫を行うことで、生態系への外来種の侵入を防ぎ、環境保護にも貢献しています。

2つ目は関税の徴収です。関税は国家財政の重要な入品に対して適正な関税が計算され、徴収されることで国の経済運営に貢献します。また、不正な申告や脱税を防止し、公正な貿易環境を維持する役割も担っています。関税は国家財政の重要な収入源であり、適正に徴収することが求められます。

3つ目に、貿易を迅速かつ効率的に進めるために通関業務は重要なプロセスです。
適切な手続きを行うことで、輸出入の遅延を防ぎ、サプライチェーンの安定を確保します。また、電子申告システムや電子データ交換(EDI)などの技術を活用することで、手続きの迅速化とコスト削減が図られ、貿易業者にとっての負担を軽減します。

4つ目に通関業務を通じて収集されたデータは、国家の貿易統計として活用されます。これにより、貿易の動向や経済の状況を把握し、政策立案や経済分析に役立てられます。また、企業にとっても市場分析や戦略立案のための貴重な情報源となります。

さらに通関業務は消費者の安全を守るためにも重要です。輸入品の品質や安全性を確認することで、不良品や有害な製品が市場に出回るのを防ぎます。また、食品や医薬品の安全基準を遵守させることで、消費者の健康を保護する役割も果たしています。

まとめ

世界がますますつながり、国際貿易が活発になる現代において、通関業務は貿易を円滑に進めるための要となるプロセスです。関税の適用や輸出入の管理、検疫の実施など、複雑で多岐にわたる業務を通して、国際貿易の円滑化と安全保障に貢献しています。

通関業務は国際貿易を支える重要な柱であり、技術革新による変革が進む中で、通関業務はますます効率的で高度なものとなり、貿易の安全性と円滑化に寄与し続けるでしょう。今後も、通関業務の進化と発展に注目し続けることが必要です。